ローイング(ボート競技)の世界に魅入られたある女性の、情熱という名の狂気を纏った激浪の物語『ノーヴィス』より、ローイングに対して、もはや狂気というレベルの情熱を傾ける主人公の姿を捉えた、新場面写真9点が一挙解禁された。
「ノーヴィス/novice」とは、新入り、初心者のこと。スポーツ分野においては競技者の分類として使われ、一定のランクに達していない初心者のことを指す。大学のボート部に入部したアレックスが、「困難だからこそ、挑戦するのだ」というJ.F.ケネディの言葉を胸に、己の限界に打ち勝ちたいという一心で過酷なトレーニングに身を投じていく。そんな本作は、デイミアン・チャゼルの『セッション』、クエンティン・タランティーノの『ヘイトフル・エイト』、ザック・スナイダーの『ジャスティス・リーグ』、ギレルモ・デル・トロの『パシフィック・リム』など錚々たるハリウッドメジャー作の音響で活躍してきたローレン・ハダウェイによる満を持しての初監督作だ。大学時代にローイング(ボート競技)に自ら没頭した体験を基に作り上げられ、自身で脚本と編集も担当。『セッション』×『ブラック・スワン』を彷彿させるダークで強烈でスリリングな傑作を作り上げた。
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ローイングに打ち込む主人公アレックスの、練習のために早朝からたったひとりでオールを担ぐ姿、トレーニングマシンに腰かけ大事なメモを取る様子、チームメイトと競い合うようにマシンを漕ぐ姿、シングル艇に寝そべり放心状態になっている様子、手のひらにできた豆が破れてしまった様子など、彼女の強いストイックさを感じさせるシーンを切り取った。
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また、バートナーに対して感情を爆発させるエモーションなシーンや、ばっちりメイクでクラブでリラックスする様子も。ボートから離れたアレックスが何を考えている人物なのか、気になるシーンだ。屋内・屋外に問わず、どのカットもトーンが暗いのが印象的。監督によると、撮影に使用することを想定していた大学から場所が変更されたが、その理由は施設の色合いによるものだという。さらに撮影中は、1日だけ晴天に見舞われたそうで、その日に撮影するシーンにふさわしくない天気だと考えた監督は、プロデューサーに撮影を後日に延期するよう懇願したそうで、徹底的なこだわりを感じさせる。
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大学時代にボート部でローイングに打ち込んでいた監督は、デビュー作でこの競技を題材にした理由について、「よく、“自分にとっての最初の映画では、自分がよく知っていることを書け。自分だけが語れるストーリーを語れ”といいますよね。私がローイングに打ち込んだ4年間は本当に濃密で、それについての映画を作ることはカタルシスになると思ったんです」と語る。アレックスは、ローイングに対してもはや狂気というレベルの情熱を傾けていくが、それはかつての監督自身の投影でもある。「アレックスと私に共通して言えることですが、“挑戦”そのものが好きなんです。最初は軽い気持ちで始めたんですが、やってみたら信じられないほどに大変で…。それで没頭していったんですが、ほとんど中毒のような状態だったと思います。アレックスも同じで、“これを克服する”と決めて、自分が満足するまで、自分が死んでもやり遂げる…そんな状態になっていきます」と振り返る。
さらに、競技者のダークな一面について描く物語にしたことについて、「クリエイターが芸術に没頭する映画や、スポーツ選手が大舞台のためにすべてを犠牲にするような映画は数え切れないほどあります。でも、闘志のある人が闘志ある努力を追求するあまり、狂気のスパイラルに陥るという映画はまだ見たことがないのではないでしょうか。私の好きな2本の映画『ブラック・スワン』と『セッション』はそれに近いかもしれません。でも、その主人公にも明確な最終目標があるんです」と、本作のオリジナリティを説明する。
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11月1日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル池袋、シネマート新宿ほか全国順次ロードショー