ルーマニア・アカデミー賞6冠の辺境サスペンス『おんどりの鳴く前に』より、オルタナティブポスターと先行視聴した著名人からのコメントが解禁された。
ルーマニア・モルドヴァ地方の静かな村の中年警察官イリエ。野心を失い鬱屈とした日々を送っている彼の願いは、果樹園を営みながら、ひっそりと第2の人生を送ること。しかし平和なはずの村で惨殺死体が見つかったことをきっかけに、イリエは美しい村の闇を次々と目の当たりにすることになる。正義感を手放した警察官がたどり着く、衝撃の結末とは―。
監督を務めたのは、長編2作目『Două lozuri』(2016)で同年のルーマニア興行収入1位を獲得した新星、パウル・ネゴエスク。本作『おんどりの鳴く前に』では、欲望と正義の狭間でゆれる主人公の葛藤を社会風刺を交えて巧みに表現し、ルーマニア・アカデミー賞(GOPO賞)6冠の快挙を成し遂げた。さらに米映画批評サイトRotten Tomatoesでは批評家100%、観客90%の高評価を獲得している。(2024/12/4時点)田舎の村という狭いコミュニティを舞台に人間の醜悪さを生々しく描き出す辺境サスペンスが、ついに日本上陸!
オルタナティブポスターは、THE YELLOW MONKEY「ソナタの暗闇」MVや櫻坂46「Cool」MVアニメパートを手掛けたアニメーション作家・イラストレーターの若林萌によるもの。本人からビジュアルへのコメントも寄せられた。
◆イラストコメント
たびたび登場する雄鶏が作品に独特なリズムを生み出しているのが印象的でした。人々が争っても自然や動物はそこで普通に暮らしているのです。彼の存在によって人間たちのやり取りが何だか虚しく見えた気がしました。イラストにする際、争いの痕跡を雄鶏がちょっと引いた眼差しで見つめる様子を「おかしみ」を持って描こうと思いました。
◆プロフィール
若林萌 アニメーション作家・イラストレーター
“レトロでポップ、可愛いけど、ちょっぴりいじわる”動物・怪物・無機物問わずの不思議なキャラクターたちが織りなす、可笑しさと切なさ、少しの毒が混在する奇譚を目指している。
また本作を先行視聴した吉田恵輔、筒井真理子、光石研、済東鉄腸ら各界著名人から称賛のコメントが寄せられた。
■吉田恵輔(映画監督)
平凡な日常を変える事に、小さな勇気を出す事に、こんなにもバタバタとみっともない……。なんて愛おしく人間らしいんだ。
■筒井真理子(俳優)
パウル・ネゴエスク監督は、“匙加減”が絶妙である。冒頭、敢えて感情移入しづらい主人公を描き、時間経過ととも私たちを引き込んでいく。緊張感のあるカメラがひとたびパンすると、映像の中には情報が徐々にさり気なく映し込まれていく。コーエン兄弟の「ブラッド・シンプル」を彷彿させ、これからが楽しみな監督だ。
■光石研(俳優)
平凡な日常が、徐々にずれ始め、衝撃的なラスト。至るところにコミカルさもあって。いゃ〜、こうゆうの好きだわ〜。俳優さん、みなさん良かった!主演のユリアンさん、背中が最高!芝居も最高!いゃ〜、こうゆうのやりたいわわ〜。
■済東鉄腸(ルーマニア語小説家)
社会と個人の倫理が衝突する様を、現代のルーマニア映画は描き続けてきた。「おんどりの鳴く前に」も、正にその系譜にある作品だ。警察官として生きるか、それとも1人の人間として生きるか。この葛藤の果てにある血生臭さ、そして圧倒的な虚無感。これだよ、これが俺の好きなルーマニア映画なんだ。
1月24日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク吉祥寺、京都シネマ ほか全国順次公開